クセもないし、脂身までおいしいジビエ。普段はそのまま焼いて塩コショウで、もしくはお鍋にいれて食べることが多いというジビエ生産者の湯川さん。食べ方のご提案を広げるために、今回シェフと初対談です。
5STAR MARCHE運営責任者の南村です。そのまま焼いてもとってもおいしく食べられる湯川さんのジビエ。でも、せっかくお取り寄せした最高のジビエを、たまにはちょっと凝ったお料理にアレンジしたいですよね。
今回は、ジビエ料理の本場としても知られるイタリア・ピエモンテにて料理の腕を磨き、現在は和歌山県「Trattroia i Bologna」にて現地で学んだ郷土料理を振る舞う小林清一シェフにお話を伺いました。ご家庭でできる、ジビエ料理についてしっかりメモを取って学びます!
シェフ:小林清一 イタリアンのシェフを目指し、28歳でイタリアに渡り、トリノのミシュラン一つ星店「Balbo」やイタリア・アスティの名店 「Trattroia i Bologna」で修業。 シェフとしての腕を磨き続け、イタリア料理界から注目される。その後、「日本で本場イタリアの料理を提供したい」という想いで帰国。 和歌山県「Trattroia i Bologna」にて日本では珍しいイタリア・ピエモンテの郷土料理を振る舞う。ジビエ料理が大の得意。 |
ジビエ肉生産者:ひなたの杜 湯川俊之 シカ・イノシシをさばかせれば紀州一、といわれるジビエ生産者の湯川さん。おいしいジビエ肉を見極める技術と、止め刺しの技術、美しく加工する解体の技術のすべてを兼ね備えるジビエ名人。ご自身もジビエが好物ですが、普段は、塩コショウのみのシンプルな味付けが好み。今回小林シェフとは初対面です。「ひなたの杜」は厳しい衛生管理のもと「わかやまジビエ認証制度」をクリアした施設です。安心安全、そしておいしいジビエを生産しています。 |
――まず、お2人が思う「ジビエ」の魅力について教えてください
(小林シェフ)栄養価が高く、牛とも豚とも違った食感や風味が楽しめるところですかね。私自身も、ジビエ料理はジビエっぽさが出ているほうが好みです。イタリアにいたときは、野兎料理なんかも好きでした。クセになるおいしさで、今でもたまに恋しくなります。こちら「イ・ボローニャ」でもジビエ料理を提供していますが、以前に比べてご注文いただくことが増えた気がします。もっとジビエのおいしさを伝えていきたいですね。
(湯川さん)僕はもともと狩りが趣味で、小さいころからおじさんに連れられて山に出ていました。なので、ジビエは昔から、身近な食材でしたね。イノシシなら脂の旨味、シカなら締まった赤身が最大の魅力だと思います。新鮮で良いジビエを選べば、実は臭みも硬さもないんですよ
――レストランのメイン料理からシカやイノシシなどのジビエ料理をお選びいただくことが増えたというのはうれしいですね。ただ、ジビエ料理はご家庭でつくるにはハードルが高いと感じる人がまだまだ多いようです
(小林シェフ)今回はご家庭でできるジビエ料理をご紹介しますので、是非作ってみてほしいです。5STAR MARCHEでお取り寄せできるジビエと、スーパーで揃えられる材料で作れて、しかも簡単です。そしてもし、ジビエに臭みがある、というイメージをもっている方がいたら、まずその印象を取っ払ってほしいなと思いますね。牛肉や豚肉とは別の種類のお肉という風に考えてみていただきたい。そうすると、それ特有の旨味や香りが感じられるようになりますから
――今回はなんと、小林シェフに3種類のお料理をご用意していただいています!早速本日のメニューのご紹介をお願いいたします
(小林シェフ)まずはスープから、イノシシのRiso e Spinaci(リーゾ エ スピナーチ)です。お米とスピニッチをコトコト煮込んだスープで、とっても簡単にできるのにしみじみおいしい。 レストランで食べるというよりかは、イタリア人がお家で日常的に食べている、家庭料理です。
(小林シェフ)そして煮込み料理の、猪のスティンコ。スティンコというのは「すね肉」という意味なのですが、現地ではスティンコ=煮込み料理を意味することが多いです。お店でも出しているメニューですが、今回はご家庭で簡単に作れるようにアレンジしました。
(小林シェフ)最後に、シカのお料理はGrissinopoli(グリッシノーポリ)。トリノのお料理です。パン粉の代わりにグリッシーニをお肉のまわりにつけて、揚げずに焼く。サクサクとした食感が楽しいです。ふつうは牛肉でやるんですが、シカでやったらすごくおいしくて、今回準備しました。
――では早速試食していきます
Riso e Spinaci(リーゾ エ スピナーチ)
シンプルだからこそ、お肉自体が持つ甘味や旨味がしっかり感じられる一品。 私たちの良く知っている牛肉や豚肉のミンチではなく、ジビエのミンチを使うとそれだけでパンチがきいてきます。 小林シェフの言う「ジビエっぽさが出る料理」のひとつかもしれません!! とろりとしたスープの中にプチプチとしたイタリア米のアクセントがたまりません。湯川さんも、一瞬で完食です!
猪のスティンコ
湯川さんも、「すね肉ってこんなに旨いんやな!と再確認できるようなお料理!」と太鼓判。 中身までしっとり柔らかく、ほろほろとほどけるお肉は絶品です。 2,000円くらいのワインを使うのがおススメですが、味の濃い赤ワインであればOK。コトコト煮込んでいる間もずっと良い香りが厨房に漂っていました。
Grissinopoli(グリッシノーポリ)
こちらの調理は湯川さんも厨房に入って見学! 最近はスーパーでも見かけることの増えてきた細長いビスケット「グリッシーニ」はトリノ発祥。 無塩も売っているようですが、塩味つきのもので調理していきます。
出来立てがおいしいから!と直前に調理をしてくれた小林シェフ。 サクサクッとした食感の中にお肉のモッチリ感もしっかり感じられ、仕上げのレモンの香りともベストマッチです。この贅沢な一品が20分程度で作れてしまうのは感激です。
(小林シェフ)イタリアでは「ジビエは冬」と言われることが多いのですが、実際のところどうなんでしょうか?
(湯川さん)脂っこいイノシシが好みなら冬ジビエがおススメですが、シカは春から夏にかけて、最高ですよ!個人的にも好きですね。上質な脂がのっています。
――人が餌や生活をコントロールしないのから、季節によってお肉の質や味がかわってくるのですね。今回ご提供いただいたイノシシ・シカも最高においしかったです!
――最後に小林さん、湯川さんのジビエを調理してみていかがでしたか?
(小林シェフ)まず、届いたお肉を見た瞬間に「丁寧な仕事をされているな」と思いました。色がきれいで、お肉がツルっとしている。臭みも全くなかったですよ。
(湯川さん)実は、僕自身がシカ・シシが生きているうちに現場に駆け付け、止め刺しをしてその後すぐに解体、加工まで行っているんですよ。この方法をとっているのは和歌山でうちだけですね。全国的にも少ないと思います。狩猟されてから時間がたつと、お肉の鮮度はどんどん失われて、肉質も硬くなってしまうし、臭みも出ます。うちのジビエは、鮮度が一番の強みです。
(小林シェフ)今日お話しを聞くまで知りませんでした。こだわりをもって、一生懸命やられてるっていうのはものすごい良いですよね。知れてよかったです。こういったところは、消費者の方にも知ってもらいたいポイントですね!
――本日はありがとうございました!
レシピ紹介
リーゾエスピナッチ
猪肉ミンチ | 400g |
ホウレンソウ | 5P 葉の部分のみ |
玉ねぎ | 1/2 |
ニンニク | 1個分 |
トマト缶 | 400g |
コンソメのもと | 1本 |
イタリア米 | 150g |
オリーブオイル、粉チーズ | お好みで |
【調理方法】
- ほうれん草はフードプロセッサーで細かくする
- 鍋にオリーブオイルを入れ、みじん切りの ニンニク、イノシシのミンチ肉を炒める
- 玉ねぎのみじん切りを加え、炒まったら、トマト缶、ほうれん草を加える
- 水、コンソメのもとを入れ、30~40分ミンチ肉が柔らかくなるまで煮る
- 生米を加え、20分煮て完成
- オリーブオイル、粉チーズをお好みでかけて食べてみてください
猪のスティンコ
猪肉ブロック(スネ) | 500g |
玉ねぎ | 1個 |
セロリ | 1個 |
ローズマリー | 4枝 |
ローリエ | 3枚 |
赤ワイン1本 | 味の濃い、2,000円程度の赤ワインでOK |
小麦粉 | 大さじ1 |
水 | 1L |
コンソメのもと | 2本 |
【調理方法】
- すね肉に塩、コショウして、鍋にオイルをひき、色よく焼く
- にんじん、玉ねぎ、セロリ、ローズマリー、ローリエを入れ、一緒に炒める
- 野菜が炒まったら、赤ワインを入れ、煮詰める。
- 小麦粉を少し加え、よくまぜる
- 水とスープの素を入れ、蓋をして時々返しながら、約2時間~2時間半蒸し煮にする
- 肉を取りソースをこす
グリッシノーポリ
鹿肉ロース ブロック | 1/2本(2cmくらいの厚さにカットし、軽くたたいて薄くしておく) |
小麦粉 | 100g |
卵 | 2個 |
グリッシーニ(有塩のもの) | 1袋 |
ヒマワリ油 | なければふつうのサラダ油でも可 |
塩コショウ | 少々 |
【調理方法】
- グリッシーニを砕く
- 鹿肉をうすくたたいものに、小麦粉、とき卵、砕いたグリッシーニの順につける
- 多めのオイルでフライパンで色よく焼く
- 塩、コショウをふりかけ完成