【黒沢牧場訪問レポート 前編】近畿で唯一山地放牧を実践している酪農家さん訪問

【黒沢牧場訪問レポート 前編】近畿で唯一山地放牧を実践している酪農家さん訪問

MatsuokaSaya

訪問レポート!海南市の黒沢牧場におじゃましました。

こんにちは、5STAR MARCHEスタッフの松岡です。本日は、黒沢牧場さんの訪問レポートを執筆していきます。

和歌山県海南市黒沢牧場訪問

和歌山県海南市、紀伊水道を望む標高509メートルの黒沢山の山頂。
約30ヘクタール(東京ドーム約6個分)の草地で、牛たちがゆったりと過ごしています。

本日は、近畿で唯一の「山地周年放牧」を実践する牧場、黒沢牧場を訪問してきました!

近畿で唯一の「山地周年放牧」を実践する黒沢牧場さん

案内してくれた上芝雄大さん

みなさま、「山地周年放牧」という言葉をご存知でしょうか。

山地周年放牧とは、山地で、一年中放牧して牛を育てること。

平地で放牧する牧場、また、一定の時間だけ放牧する牧場は日本国内に他にもありますが、「山地で一年中放牧」は全国的にも珍しく、近畿ではここ黒沢牧場だけなのだそうです。


黒沢牧場の開墾は1968年(昭和43年)4月。今回ご案内いただいた上芝雄大(ゆうた)さんの曾祖父の代に創業されたそうです。当時は、加熱殺菌した生乳を酒の一升瓶に入れて、牧場内限定で販売していたそうです。当時は名前やラベルなどもなく、手作り感のある素朴な牛乳。それが50年以上の時を経て、今では「やさしい牛乳」というブランドで、和歌山を代表する牧場となりました。

やさしい牛乳_放牧低殺菌のノンホモ牛乳

牛舎がない!?24時間放牧で育つ元気な牛たち

牧場を訪れてまずびっくりさせられるのが、牛舎がないこと。そして、牛たちが本当に自由に散歩していること。

一般的な牧場では、乳牛は牛舎にいて、穀物飼料を与えられながら暮らすケースが多いですが、黒沢牧場の牛たちは24時間放牧されており、好きな時間に寝て起きて草を食べます。
訪問時も、柵の中ではなく、山の斜面を上ったり下りたり、思い思いの場所で草を食んでいる姿が見られました。山地を歩くので足腰も丈夫。子牛が産まれるときは、なんと分娩介助も必要ないそうです!

黒沢牧場の牛乳が特別美味しいわけは、自由気ままに草を食べて、生き生きと生活している牛から搾乳されているからだと納得しました。

品種は、ホルスタインとジャージー。同じ群れ内で共存している景色が見れる牧場は珍しいのだそうです。
リラックスしていると、一度食べたものを消化しやすくするために口をもぐもぐと動かす、「反芻(はんすう)」が起きるのだとか。観光牧場としても運営しているため、普段からもお客さんが訪れることもあり、この距離でもリラックスしている様子を見せてくれました。

放牧育ちの牛たちの特徴
  • 24時間放牧で、好きな時間に寝て起きて草を食む
  • 山間部で足腰が自然と鍛えられる
  • お産の際にも介助なしで出産できる
  • 病気に強く、たくましく元気に育つ
  • 牛本来のペースで、健康的に長生きする

自然の草を食べ、自由に動き回り、ストレスなく暮らしているから、病気にも強い。牛1頭あたりに必要な草地は約1ヘクタールと言われていますが、黒沢牧場では現在約40頭の牛が、広い敷地でのびのびと暮らしています。

ジャージー牛の仔牛

産まれて1ヶ月ほどのジャージー牛の赤ちゃんも見せていただきました!

また、黒沢牧場では敷地で育てた草を自家製で加工し、飼料にしているそうです。牛の糞尿がそのまま山へ肥料として還り、また緑の若草が生えてくる。訪問日時は2月末でしたが、暖冬もあってか、牛が生活しているエリアは枯れ草の中にも若干の芝生が見え、土壌の循環を垣間見ました。山地の資源を無駄にしない、エコな活動も実践されています。

夏と冬で、ミルクの味が変わる――季節を味わう牛乳

牧場を案内していただく中で、上芝さんが面白いことを教えてくれました。
「実は、牛乳も季節で味わいが変わるんですよ」

え、牛乳の味が変わる?!!

実は、夏と冬とで食べ物と運動量が違ったりすることから、濃淡や味わいにも特徴がでるそうです。夏には、牧場に生えているクローバーなどの青々とした牧草を食べるので、生乳自体も水分量が増えて、さっぱりした味わいに。逆に冬は枯れ草を食べるため水分量が減って、より濃厚でクリーミーな味わいになるのだそう。

旬の野菜や果物があるように、牛乳にも季節によって違いがあるのが自然。でも、スーパーで買う牛乳は一年中同じ味です。それは、えさの統一を行ったり、複数の牧場の牛乳をブレンドして均質化しているから。

黒沢牧場の牛乳は、夏には夏らしい、冬には冬らしい牛乳になるんです。

ノンホモ牛乳へのこだわり

「ノンホモ牛乳」という言葉を聞いたことがありますか?なんだかちょっと「いい牛乳」のイメージがありますよね。
ノンホモ牛乳とは「ノンホモジナイズ牛乳」の略で、「ホモジナイズされていない牛乳」という意味です。

「ホモジナイズ」とは?

通常、搾りたての原乳の中にはサイズの違う脂肪球が含まれています。輸送中に揺れると大きい脂肪球が小さい脂肪球を食い、クリームのような層ができてしまいます。これを防ぐために機械で脂肪球を均一化して接点を小さくすることを「ホモジナイズ」といいます。

黒沢牧場では、自然の状態で牛を飼育し、ナチュラルな牛乳を届けることにこだわりを持っています。だから、機械で圧力をかけ、生乳に含まれている脂肪分の粒の大きさを小さく均質にする「ホモジナイズ」もしない、「ノンホモ牛乳」なのです。
牛乳本来の味わい、そして季節ごとの個性がそのまま楽しめます。

低温殺菌で守る、牛乳の甘さと濃厚さ

搾りたての原乳が加工されて、いよいよ「やさしい牛乳」になります。
市販の牛乳は「120℃で3秒」といった高温で短時間の加熱殺菌を施すことが多いですが、「やさしい牛乳」は「65℃で30分」の加熱を行います。

殺菌効果は同じですが、手間暇かける理由は牛乳の濃厚さと甘さを残すため。
牧場で食べられるソフトクリームも、季節ごとにその味わいが変化します。
それを楽しみに、何度も足を運んでくださるお客様もいらっしゃるそうです。

つまり、黒沢牧場の牛乳には「今」しか味わえない旬があるということ。
それは、牛たちが今この季節に、この場所で食べている草の味そのものなのです。

この牛乳は、この場所でしか飲めない――牧場を訪れる価値

「山地放牧は大量生産をする牧場ではありません。でも、この山間での放牧の仕方やこの牛乳のおいしさを、まずは知ってもらいたい。だから、牧場に来ていただくことが大事だと考えています」

上芝さんの言葉が、印象的でした。
季節ごとに変わる搾りたての生乳の味わいは、やっぱりこの場所でしか体験できません。

毎日15時の牛たちの搾乳待ち風景

搾乳待ちの牛たちの光景特に見どころなのが、毎日15時頃の光景です。
牛たちは搾乳してもらいに、放牧地から牛舎に列をなして戻ってきます。この様子も一見の価値ありです。

後編では、搾乳のフロー見学、黒沢牧場で学んだ6次化のお話、そして様々な形でお客様に届く黒沢牧場の牛乳についてご紹介します。お楽しみに!

 

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【黒沢牧場 基本情報】

農事組合法人 黒沢牧場
住所:和歌山県海南市上谷603
TEL:073-487-3127 (牧場の牛たち・アイスクリームに関するお問い合わせ)
TEL:073-487-2900 (入園・ゴルフに関するお問い合わせ)
営業時間:9:00〜17:00(不定休)
ミルク工房:10:00〜16:00(水曜定休)
公式サイト:https://9638farm.com/