【訪問レポート】ぶどう山椒発祥の地・有田川町「しろにし」 〜廃校から生まれた、移住と就農を支える拠点〜

【訪問レポート】ぶどう山椒発祥の地・有田川町「しろにし」 〜廃校から生まれた、移住と就農を支える拠点〜

MatsuokaSaya
有田川町しろにし訪問_多機能複合施設_移住支援

こんにちは!5STAR MARCHEの松岡です。

今回訪れたのは、和歌山県有田川町の「一般社団法人しろにし」。廃校を再生した施設を拠点に、移住や就業を支援する"地域の人事部"として活動されています。

遊ぶように暮らそう。」——そんなコンセプトを掲げる「しろにし」で、今回私たちがお世話になったのは、代表理事の楠部睦美さん。むっちゃんこと、楠部さんご案内のもと、有田川町の山椒農家さんを訪れてきました!

しろにしの紹介―旧小学校が、移住のハブに生まれ変わる

廃校した小学校をリノベ

有田川町の中心部、二川地区。有田川沿いに東西に広がる有田川町、その東部を占める清水地区にある、かつて「しろにし」の愛称で親しまれていた旧城山西小学校。この建物が、2023年6月、移住就業支援拠点施設として新たな命を吹き込まれました。

地元紀州の無垢材を使った施設は、木の香りが漂いリラックスして仕事ができる空間。足を踏み入れた瞬間、紀州材の温かみに包まれます。

地元紀州の無垢材を使った施設

施設内には、短期滞在者向けの「ドミトリールーム」、中長期滞在が可能な「居住者用ワンルーム」を備えた「ふたがわ寮」があり、移住への「最初の一歩」を支えるシェアハウスとして機能しています。

さらに、地域住民にも開放された「井戸端カフェしろにし」では、ランドリーも併設!滞在者と地元の人々が自然に交流できる場所となっています。

しろにし_ランドリーコーナー

むっちゃんは、有田川町のみかん農家生まれのUターン移住者。2016年から有田川町で「ゲストハウスもらいもん」を運営しており、8年間の宿運営の経験を活かして「しろにし」の立ち上げに参画されました!

しろにし代表理事の楠部睦美さん

▲しろにし代表理事の楠部睦美さん

ぶどう山椒の未来を担う、若き生産者のもとへ―篠畑農園さん訪問

むっちゃんの案内のもと、到着したのはぶどう山椒の発祥地である旧清水地域。出迎えてくださったのは、この地でぶどう山椒の生産・加工を精力的に行う若手生産者、篠畑農園の代表・篠畑雄介さん。静かな山間に位置するこのエリアで、2022年に誕生した農園です。なんと最近さらに面積を増やし、ぶどう山椒の作付け量が日本トップクラスになったそうです!

新商品の「後がけ山椒スパイス」もご紹介いただきました。

篠畑農園の後がけ山椒スパイス_万能

篠畑さんは有田川町出身。進学を機に大阪に出て就職してしばらくして聞いたのが、地元有田川町のぶどう山椒の危機だったといいます。「高齢化で後継者もおらずこのままでは産業として存続の危機にあったぶどう山椒栽培をなんとかしたいと思い、脱サラしてUターン移住。山椒農家になりました」

後がけ山椒スパイス説明


驚くことに、篠畑さん自身、実は山椒が大の苦手だったそうです。「地元が日本一どころか産地という事も知りませんでした。ところが、初めて産地で高品質の山椒を食べた時に、その香りに感動して好きになり、今では山椒の生産者になっています」

鮮やかな緑色が美しい!篠畑農園の自慢の粉山椒

ぶどう山椒は、ここ有田川町が発祥の地。粒が大きくて、まるでぶどうの房のように実がなることから、「ぶどう山椒」と名づけられたのだとか。香りが高く、痺れも上品で、料理人さんたちからも高く評価されている高級食材です。

近年は"和のスパイス""Japanese pepper"として、海外での需要も高まっており、有田川町の生産量は日本一を誇ります。

篠畑農園の粒山椒と粉山椒

▲篠畑農園のぶどう山椒(粒と粉)

スーパーで手軽に手に入れることができる山椒といえば、橙色や茶色がかっているものを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?今回、実物を見せていただき驚きましたが、新鮮な山椒をしっかりと遮光をして適切に加工したぶどう山椒は、まるでお茶のように鮮やかな緑色!

収穫期は6月下旬から8月上旬。真夏の暑い時期に、一粒一粒、手作業で収穫していくのだといいます。収穫・乾燥した山椒は、熱にも弱いため、急速に粉末にすると熱がこもってしまうことから、篠畑農園では昔ながらの石臼で、ゆっくりと時間をかけて細かい粉にする手間を惜しみません。

一般流通されているスーパーで購入できる粉山椒(同地域産)と食味や色味を比較するワークショップも開催してくださいました。粒度、香り、色味、食べた後の柑橘の香りの強弱など、同じ原料でも加工や保存方法の違いで仕上がりがこんなに変わるほどデリケートな植物であることがわかります。

▼最高級と呼ばれる「赤山椒*」まで見せていただきました

※赤山椒とは、秋まで樹上で完熟させた真っ赤な実を収穫したもの。通常初夏に収穫する時期の実をとらずに置いておくことで、木にも負担がかかることから大変稀少なものとして知られています。

しろにしの地域課題解決―「ぶどう山椒収穫レスキュー」という新しい関わり方

有田川町は昔からぶどう山椒の産地として知られていますが、高齢化と人口減少に伴い、産業は存続の危機にあります。

「しろにし」が最も力を入れているのが、地域の困りごとを解決する「地域維持レスキュー®」。その代表的な取り組みが、この「ぶどう山椒収穫レスキュー」です。

収穫期の人手不足に悩むぶどう山椒農家と、一次産業や地方に触れたい県外の人をつなぐこちらの企画。参加者は、季節労働としてお金をもらうのではなく、収穫体験はボランティア、かつ旅費は自らで負担という条件にもかかわらず、毎年たくさんの人が参加しているそうです!

▶ぶどう山椒収穫レスキューについて詳しくはコチラ

ぶどう山椒収穫レスキューの他にも、道普請レスキュー(集落の生活道や水路の維持管理)、空き家片付け、伝統行事のための茅刈りなど、地域の文化やインフラを守る活動に、関係人口が関わる仕組みをつくっています。 

▶しろにしの地域維持レスキュー®一覧はコチラ

大阪との2拠点生活をしながら山椒づくりにも挑戦

―移住者のなもふ農園さん

しろにしに帰ってきたら、移住を機に山椒の新規就農をされたご夫婦「なもふ農園さん」にお会いしました。しろにしのランドリーコーナーのヘビーユーザーなのだそう。これまで大阪住みの豊彦さんと良子さんですが、田舎への移住をしたくて近畿圏で色んな場所を見て回り、最終的にここ、有田川町の清水地域を気に入られて移住を決意されたそうです。

お庭に山椒の木がついてきたことをきっかけに、山椒栽培にも挑戦。先輩ぶどう農家さんのお手伝いもしながら、色々と教えていただいているのだとか。

乾燥粒山椒のミルはアイディア満点!食卓で食べる直前に挽き立てを自分でかけられる、お手軽アイテムです。お料理の幅も広がりそうですね・・・!

お菓子作りが得意だという良子さんは、山椒を使った米粉の焼き菓子の製造・販売も楽しんでいるとお話してくださいました。

単なる宿泊施設ではない、「地域の人事部」としての役割

今回、むっちゃんに農家さんをご紹介いただき、改めて「しろにし」は単なる宿泊施設ではなく、多機能複合施設なのだと感じました。むっちゃんと地元住人さんとの距離感、農家さんや移住者さん、移住希望者さんとの距離感などから、多岐にわたってあたたかい関わりをされていることが伝わってきました。

地域外の企業や教育機関、個人などの関心層を引き寄せ、地域住民や事業者・農林業者との関係性を深める仕掛けづくりを進める「しろにし」の活動を今後も楽しみにしています!

遊ぶように暮らそう_しろにし訪問_5STAR MARCHE

私たち5STAR MARCHEも、和歌山の生産者さんを応援し、その魅力を発信するという想いを持っています。「しろにし」のように、地域と人をつなぐ活動を、これからも応援していきたいと思います。


▼もし、有田川町に興味を持たれたら、ぜひ「しろにし」を訪れてみてください。廃校の教室で過ごす非日常な時間、地域の人々との温かい交流、そして和歌山ならではの一次産業体験に触れていただけます。

一般社団法人しろにし 
住所:和歌山県有田郡有田川町二川361  
アクセス:JR藤並駅より公共交通機関にて46分、二川バス停下車徒歩6分  

公式サイト:https://shironishi.jp/

Instagram:https://www.instagram.com/shironishi_aridagawa?utm_source=ig_web_button_share_sheet&igsh=ZDNlZDc0MzIxNw==

体験プログラム
・ぶどう山椒収穫レスキュー(7月〜8月)  
・その他、援農体験など随時開催

詳細は「しろにし」公式サイトよりお問い合わせください

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5STAR MARCHEでは、和歌山県内の生産者さんを応援し、皆様に新鮮な産直品をお届けしています。有田川町の農産物も、これからご紹介していきます!