ジビエとクラフトハムソーセージの生産者 メツゲライサカモトさん訪問

ジビエとクラフトハムソーセージの生産者 メツゲライサカモトさん訪問

MatsuokaSaya

県内外で大注目!METZGEREI SAKAMOTO(メツゲライサカモト)さんを訪問

和歌山県かつらぎ町の山奥で、野生の猪・鹿などのジビエを扱うお肉屋さん「メツゲライ サカモト」。ドイツ語で肉屋の意味のメツゲライを屋号に掲げるのは、店主の阪本晃一さん。実は、その名の通り、本場ドイツで食肉加工の修行をしながら「ゲゼレ」というドイツの職人の国家資格を取得したのだそう。

今回は、かつらぎ町出身者であるスタッフ松岡が、地元生産者の魅力を取材・発信いたします!

捕獲から捌いて加工するところまで、すべて行う

大阪和泉市出身の阪本さん。実は、以前は保育士だったのだそう。シュタイナー教育を学ぶ研修で訪れたドイツの街中の肉屋を見かけたことが全てのきっかけになったとお話してくださいました。

店先にそのまま肉やソーセージが吊られている ー解体から加工まで一貫して職人が携わるスタイルに魅了

ドイツの肉屋の店先にそのまま肉やソーセージが吊られている風景に驚いたと言います。と殺から精肉、レストランまでが一体化されている食の仕組みにも興味を持ち、自分もやってみたいと思うように。

20代後半、好きだった保育士の仕事に区切りをつけ、新しい挑戦としてドイツに飛んだそう。そこで肉屋で働きながら資格取得のため現地の学校に通ったと言います。「慣れない言語のなかで受ける授業は大変だったけど、有り難いことに、優秀な友人たちが勉強をサポートしてくれた」「遊びながら学んだよ」と笑いながらお話して下さいました。

日本に帰国後も和歌山県内のジビエ施設で現場修行

3年のドイツ滞在を経て帰国。解体から携われるジビエに興味があり、和歌山県内でジビエに力を入れる施設で2年間、現場修行を積んだそう。そして、地域おこし協力隊として、かつらぎ町花園地区で活動を開始することに。

かつらぎ町花園地区で地域おこし協力隊として活動開始

同じかつらぎ町内といっても、その町域はかなり広く、町内の移動に片道40分以上かかる場所も多く点在しています。特に、山林奥地で高野山の麓であるこの地域では、普段から獣害が課題で、農家さんのお困りごとの1つでした。


阪本さんが主に取り扱う獣害駆除されたイノシシと鹿。これまで、駆除されるだけだった動物を阪本さんの経験と技術でジビエとして商品化する活動は、県内外でも大注目されています。

余すところなく、いのちをいただく

現場では生け捕り状態にしてもらい、自らとどめを刺し、まだ内臓が温かいうちに作業場に持って帰っています。今回お邪魔した時も、数時間前に血抜きをしたばかりのお肉を捌いている様子を見せていただきました!

ドイツの伝統的なお肉屋さんでは、仕入れた分と同量の商品ができあがるそう。(1.5t肉を仕入れたら、1.5tの商品ができる)。阪本さんのところでも、例えば、鹿の解体では残るのは頭蓋骨と消化器官だけとなるのだそう。(なんと背骨はふりかけに活用!)

取材中、体験で訪れていた若手が捌く際に骨に肉が残ってしまっても、「大丈夫、わんちゃんが喜ぶから!」と、無駄なくいのちをいただくよう心がけている様子を節々で感じました。

地域貢献にも積極的に取り組み

捕獲・回収・捌いて加工まで一人で行う多忙さ。そんな中でも地域との繋がりや、お客さんとの交流は大切にしている阪本さん。マルシェに出店して自らソーセージを焼いて、ジビエの魅力を伝える活動もしています。

地元かつらぎ町で開催されたみんなでマルシェJMT大作戦

保育士としての経験は今も

公民館で地域の子どもを対象に、ジビエソーセージ作り・ジビエフルコース体験なども行い、食育活動にも貢献。前職とは全く畑違いの業種へと転職・起業となった阪本さんですが、今いる場所と立場で、保育士時代の経験を活かし、新たな形で教育に携わっています。

みんな自由でいいじゃない!

獲物の捕獲場所は地元地域をゆうに超えて、さまざま。獣害に悩まれている農家さんの畑や山も色んな地域にあるため、職業柄、いろんな地域の山を駆けずり回っている阪本さん。同じ町内でも川より北か南かで植生や日当たりなど環境が異なることもあり、捕獲されやすい動物にも傾向があるというのも面白いです。

取材の中で阪本さんの口から出てきた「自由」という言葉。そうやって、地域横断型で活動しているからこそ、つむぎ出される言葉なのだと感じました。

(2025年4月8日 訪問)